「和晒」は、綿布を晒して真っ白に仕上げる製法だ。まずは原反を専用の釜に入れ、穏やかな水流で2日間かけて焚き上げ、不純物などを除去していく。作業の要所要所に職人の技が必要となり、全てを機械任せにはできない。角野晒染は「和晒」の伝統を守りつつ、新たな可能性を模索。さまざまな方法で「和晒」の魅力を発信している。
江戸時代より330年、堺の醸造業の伝統を受け継ぐ老舗。雨が降っても風が吹いても商いを休まなかったことから、『雨風屋さん』と呼ばれたという。現在は醤油や味噌の他、手作りの「糀(こうじ)」を使った商品を製造・販売。日本古来の技と味を伝えるため、直営店の運営、料理教室の開催にも力を注ぐ。
かつて中国や南蛮との交易で、堺には漢方薬や香木が集まってきた。それらを扱ったのが、室町時代から続く薬種問屋の梅栄堂だった。1657年(明暦3年)に「沈香屋」へと転身し、門外不出の秘伝の製法を今日に受け継いでいる。現在では、堺市に大規模な製造拠点を持つのは同社のみ。国内で最も古い専門メーカーとなった。
明治時代に大阪で生まれた「注染」。ジャバラ状に重ねた布の上から染料を注いで染める独特の技法だ。国内では約3割が堺で生産されているという。注染工場として屈指の規模を誇る株式会社ナカニは、伝統の技法に新たな光を当て、従来の日本手拭いでは考えられなかった個性的なデザインを次々と商品化。注染の可能性を切り拓いている。
従来のステンレス包丁にない切れ味、耐久性を持つ和包丁を製造。海外からも注目。
全て鉄製の剪定鋏を本体部とグリップを別製化することによって、軽量で使いやすい剪定鋏の開発に成功し、業界をリードする。
堺刃物の伝統技術を礎に、斬新なアイデアで鋏と鋸の常識を一変。熟練工に依る従来の製法から、機械を使って安定供給できる製法へ業界の流れを変えたアルスブランド。独自製法でヒット商品を生み出し、国内では家庭の主婦からプロまで認知され、今や海外のプロの間にも浸透。切れ味と耐久性へのこだわりが高評価。
硬くて切れ味がよく最高級品として知られる水焼き本焼きのプロ用高級料理包丁。また、鏡面研ぎなどの新技法を積極採用し、新旧の高い技術を融合。
堺打刃物を世界に広めるべく、製造~販売の強力なネットワークを活かした商品開発・販売戦略を展開。堺・新潟・三木の3 拠点体制で、利器工匠具の普及と新たなニーズ発掘に取り組んでいる。特筆すべきは、「OWL(オウル)」を中心とした多彩な自社ブランド。高級和包丁から農工具、ガーデニング、DIY 用品まで品揃えも幅広い。
創業以来300年余、不易流行を信念に、常に新しい香りに挑戦してきた。癒しブームの火付け役となった「アロマセラピー香シリーズ」、スギ花粉の症状を緩和する「花粉気香」、お香で花や人形をつくる「お香クラフト」、TPOを意識した「朝のお線香」「夜のお線香」など、斬新なアイデアでお香の可能性を追求している。
大阪府下で唯一、全国でも数少ない手描き鯉幟工房。149年もの歴史があり、現在は六代目の 田武史氏が伝統の技を継承している。「伝統工芸士」の武史氏が、一枚一枚丹念に描き上げる鯉幟は、まさに匠の技の結晶。空を泳ぐ鯉の勇壮な姿に魅了される人も多い。1986(昭和61年)には「大阪の伝統工芸品」に認定された。
戦前は昆布加工業を行っていたが、戦後に国内で五指に入るほどの昆布卸問屋に成長。1963年に加工業を再開し、現在に至っている。北海道産の昆布を現地で直接買い付け、昔ながらの製法でじっくり炊き上げるなど、素材選びから徹底的にこだわった商品づくりが信条。本社内に自社のショップを運営し、昆布の普及にも努めている。
江戸後中期の寛政年間に創業した「河又」に端を発する老舗醤油メーカー。かつて一大醤油産地だった堺市だが、現在も残っているのは大醤株式会社のみ。大豆や大麦などの原料からの一貫生産を行っているのは、大阪府唯一だ。近年は、醤油を加工した調味醤油にも力を入れており、舌の肥えた関西人たちの支持を集めている。
自転車部品、釣具に求められるのは強さと軽さの両立です。さらに使う人がこころを躍らせるようなデザインを実現するため、創業の地・堺で培ってきた金属加工技術を日々進化させています。
のれん、幟、旗などに文字や図柄を入れる印染(しるしぞめ)の技を継承する老舗。伝統を守りながら、大手百貨店の催事・展示会から、ショッピングモールの店内用品まで、幅広く受注生産できる体制と提案力により信頼を築いてきた。大手外食チェーンにおいても、のれん、座布団、前掛、着物、タペストリーなどの大きなシェアを持つ。
「ニッタン」の名で知られるカーペットの総合メーカー。日本有数のホテルで使われるデザインカーペットから、IT時代のオフィスを支えるタイルカーペット、スポーツ施設向けの全天候型人工芝まで、生活のあらゆる場面で活躍する高品質のカーペットを、最先端の生産システムとデザインシステムを駆使して製造している。
「堺刀司」ブランドの和包丁・洋包丁で知られる創業210年以上の老舗。匠の技で作り上げる包丁は、繊細な切れ味と使いやすさで、一流料理人から主婦まで幅広く愛用されている。近年は、昔ながらの製法に新しい技術を融合させた、セラミックやハイス鋼の庖丁や鍋・キッチン用具などを幅広く展開。新たなファンを開拓している。
伝統ある堺刃物の技術を受け継ぎながら、新しい技術をプラスし、独創的な包丁を開発している。その一つ「堺孝行PC柄和包丁」は、柄にプラスチック特殊樹脂を使用することで、腐敗しやすい木柄の問題点を解消。衛生面、耐久性に優れた製品として、国内の大手外食チェーンやスーパーはもとより、海外からも注目を集めている。
鋏(はさみ)一筋に100年超の歴史を持つ。刃物の本場ヨーロッパで「近正のハサミに代わるハサミはない」とまで言われるほど、その品質は多方面から高く評価されている。