注染の技法に個性をかけあわせた自社ブランドを展開

明治時代に大阪で生まれた「注染」。ジャバラ状に重ねた布の上から染料を注いで染める独特の技法だ。国内では約3割が堺で生産されているという。注染工場として屈指の規模を誇る株式会社ナカニは、伝統の技法に新たな光を当て、従来の日本手拭いでは考えられなかった個性的なデザインを次々と商品化。注染の可能性を切り拓いている。

株式会社ナカニ

日本手拭いという和の世界に、これまでにない斬新な絵柄やカラフルな色を取り入れる自社ブランド「にじゆら」を立ち上げた。プリントなど他の染色法では表現できない、注染特有の「にじみ」と「ゆらぎ」が名前の由来である。手拭いの常識にとらわれないオリジナルのデザインは社内で企画・デザインしているものや、若手の作家によるものだ。その鮮やかな色合い、かわいらしい図柄は、手拭いの古いイメージをくつがえす。現在、「にじゆら」のショップは、東京、大阪、京都、神戸に計5店舗を構えており、女性を中心にファンを増やしている。手拭いのほか、ブックカバーやバッグ、巾着など、豊富なアイテムが揃っているのも人気の所以だ。オリジナルブランドや直営ショップの展開は、注染業界では画期的な事。工場見学も積極的に行っている。すべては、注染を広め、注染の良さを伝えるため。ものづくりへのゆるぎない思いを携えて、これからも新たな挑戦は続く。

企業概要