伝統の味を活かしつつ、新たな調味醤油で需要を拡大

江戸後中期の寛政年間に創業した「河又」に端を発する老舗醤油メーカー。かつて一大醤油産地だった堺市だが、現在も残っているのは大醤株式会社のみ。大豆や大麦などの原料からの一貫生産を行っているのは、大阪府唯一だ。近年は、醤油を加工した調味醤油にも力を入れており、舌の肥えた関西人たちの支持を集めている。

大醤株式会社

創業200年を超える歴史は、革新と挑戦の連続だった。1905年(明治38年)には日本で初めて麹菌の純粋培養に成功。この「河又菌」の登場で、おいしい醤油をどの蔵でも生産できるようになった。1907年(明治40年)には早くも機械を導入し、業界に先駆けて醤油醸造の近代化に着手した。
バイオ工学を専門とする農学博士の河盛社長もまた、伝統の醤油に新たな風を吹き込んでいる。例えば、主力商品の超特選本醸造醤油「王醤」や、旨味成分の多い濃厚な「金牌しょうゆ」の卓上用サイズ。気軽に本物のおいしさを味わえるとあって、人気が高まっている。さらに好調なのが、唐辛子を効かせた「キムチぽんず」、大阪風の味を継承した「大醤うどんつゆ」といった調味醤油だ。これらの売上比率は、すでに醤油を上回っている。調味醤油の増産のため、2017年には新工場も竣工した。開発チームは女性スタッフを中心にしており、今後も時代を見据えながら、関西人好みの味を生み出していきたいとしている。

企業概要