アルミ合金の複雑形状を可能にした自硬性鋳型のパイオニア

アルミニウム合金専門の鋳物メーカーとして60年以上の実績を誇る。当初は自動車部品の金型をはじめとする量産品がメインだったが、1990年代のアジア経済危機をきっかけに国内調達向けの多品種小ロット生産へと方針転換。アルカリフェノール樹脂を使用する自硬性プロセスを導入し、砂型鋳造をスタートさせた。以来、常により高い精度、より良い作業環境を追求し、専門性を磨き続けている。

株式会社東邦鋳造所

砂型鋳造は多品種少ロット、および大型の鋳造物や複雑な形状に対応できる鋳造法だ。東邦鋳造所は、熟練に頼らない方法とし、自硬性プロセスに目を付けた。フラン自硬性鋳型は硬化剤に硫黄が含まれるため臭気が強く、火傷や穿孔の危険性もあったため断念。ほどなくアルカリフェノール自硬性の存在を知り、導入を決めた。しかし手を尽くしても事例を見つけられず、自社で「やってみる」しか方法がなかった。試行錯誤を重ね、受注のめどが立ったのは約1年後のこと。その後も改善・改良を加え、独自のノウハウを地道に蓄積。どんな要望にも応えられる技術と自信を得た。
また、不良品発生を抑えるため、材料の成分分析や木型の鋳造方案を追求。3D による完成後のシミュレーションなど、新技術も活用しつつ精度を高めている。またトレーサビリティの観点から、原材料、分量、工程、時刻、担当者などを日々記録。不具合が出た場合の問題箇所の絞り込みに役立てている。まだまだ技術研磨は道半ば。改良・改善にも終わりはない。

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